ベルギーに接するフランス北端の街リールにルーツを持つジュリアンにはフランスとドイツの血が流れています。 フランクフルトで劇作家として働いていたジュリアンは、都会での忙しい生活の中、自らの手で何かを作り出したいと思うようになります。休暇を取り、気分転換に参加したブドウの収穫をきっかけに、本格的にワインの道を歩む決断をします。その後、モーゼル・ウィニンゲンに拠点を持つヘイマン・レーヴェンシュタインの元でワイン造りを学び、ジュリアン自身もウィニンゲンで生活を始めます。 ウィニンゲンは、モーゼル川がライン川に合流する手前にある街で、畑は南、南東向きの山の斜面に広がっています。ジュリアンの畑はほぼ全て急勾配のスレート土壌で、リースリングをはじめヴァイスブルグンダー、ミュラー・トゥルガウを栽培しています(シャルドネはクリストファー・バートから譲り受けたもの)。 ジュリアンのワインを飲むと、モーゼル・ウィニンゲンの土壌、微気候、そしてジュリアン自身を詰め込んだものという以外の表現方法が思い当たりません。彼のワインを特異なものにしているのは、ジュリアンの「迷いの少なさ」かもしれません。 「何故、ジュリアンのワインにはこんな味わいが出るのか?飲み手へのメッセージは何か?」という問いに対して、彼はきっぱり言い切ります。 「わからない。メッセージもない。それがメッセージだ。 ブドウ樹を取り巻く自然の循環システムはあまりに複雑で、それを言葉で説明できるとは思わない。もちろん、ウィニンゲンにあるのはスレート土壌だし、スレート土壌からできるワインに共通する味わいはある。けれど、ブドウ樹はスレートに直接根差している訳ではない。土中の微生物相やPH値は区画によっても違うと思うし、隣の街となると全く別物かもしれない。その上、自分の体やセラーのことを考えると味わいに影響を与える無限の要素がある。」 そのように答えるジュリアンと彼のワインに共通するのは、全く飾り気がないことです。 ウィニンゲンという場所、その中で昔から大切にされてきた畑。その土地のみが出せる味わいをただひたすら純粋に表現しようとする気持ちが滲み出ている人、そしてワインだと思います。 (インポーター資料より)
Riesling 2023-Julien Renard